夏の終わりだからといって、ビーチ旅行の計画をあきらめる必要はない。むしろ秋こそ、気温も過ごしやすく、波のコンディションも良いことから、海に出かけるには絶好の季節といえる。横浜からほど近い湘南エリアは、その魅力を存分に味わえる場所だ。そしてこの有名なビーチエリアに、新たなスポットとして「茅ヶ崎ビール」が誕生した。訪れる理由のひとつになるかもしれない。
2023年4月にブルワリーとレストランを開業したオーナーの岩瀬望美は、その理由についてこう語る。「現在、茅ヶ崎市内には7つの醸造所があり、ビールの街として知られる可能性があると思っています」。茅ヶ崎といえば音楽シーンでは「湘南サウンド」で有名だが、彼女はより地域に根ざした新しい文化をつくりたいと考えた。クラフトビールなら長く続くビジネスになり、地元経済への貢献にもつながると確信したのだ。

このレストランの魅力のひとつは、朝7時から食事、そしてビールを楽しめることだ。「そんなに早くから誰が飲むの?」と思うかもしれない。早朝サーフィンを終えたサーファーや漁師、あるいはちょっとお祝い気分の人たち……。もちろんビールなしで利用することもできる。平日は朝7時から9時まで「朝会コース」(前日予約制、¥2000税込)が用意され、5品の料理とデザートに加え、ビールや他のアルコール・ノンアルコール飲料の飲み放題がつく。週末は7時から10時半まで、新鮮な海鮮やパンケーキが楽しめるモーニングビュッフェ(¥1800、プラス¥900で飲み放題)を提供。11時以降はボリュームあるコース料理がそろい、地元食材とともにビールを堪能できる。
地元へのこだわりは単なる象徴ではなく、実際の取り組みにも表れている。岩瀬は近隣の「齋藤牧場」と提携し、醸造後に出る麦芽かすを専用機械で牛の飼料に加工。それを食べて育った「ちがさき牛」は、地元の精肉店「熟成肉工房ジロー」で無添加ハンバーグやソーセージに加工され、最終的にはブルワリーレストランで提供される。まさに地域内での循環を実現しているのだ。

茅ヶ崎ビールが定番で提供するのは6種類。アルコール度数はすべて5.5%以下で、料理と合わせやすく、気軽に飲めるスタイルだ。ラインナップは、ラガー、IPA、ヴァイツェン(小麦ビール)、スタウト、ゴールデンエール、そしてドラゴンフルーツを使ったユニークな「ドラゴンエール」。訪れる時には、特別な限定ビールに出会えるかもしれない。価格も手ごろで、1杯600円以下。瓶でのテイクアウトもできるので、自宅で湘南の味わいを楽しむこともできる。
2013年に茅ヶ崎へ移住した岩瀬は、個人経営の店が多く、人々が温かく迎えてくれる街の雰囲気に惹かれたという。今では自らもその一員となり、地域に恩返しをするためにビールをつくっている。訪れる私たちも、地元の食材とクラフトビールを楽しむことで、その思いを応援することができる。

