新村繭子氏は、現在、MCYの代表理事であり、長年にわたって横浜の文化や地域コミュニティの発展に貢献してきた人物である。東京で生まれ育ち、武蔵野美術大学に進学したが、その後横浜に居を構えた。これは横浜にとって、実に幸運なことであったと言えるだろう。
かつて彼女は、横浜・野毛地区にあるコミュニティセンター、野毛Hana*Hanaで働いていた。施設運営に携わるとともに、地域のアートイベントの企画においてアシスタントディレクターも務めていた。所属していたのは、地域づくりを推進する団体である野毛地区まちづくり会である。新村は当時を振り返り、「もともとは、アートや文化を通じて地域を活性化するという団体の理念に魅力を感じていました」と語る。
当時、老舗ジャズ喫茶ちぐさも同会によって運営されており、彼女はそこで働くことになった。ちぐさは、音楽にじっくり耳を傾けることのできる、他に類を見ない居心地のよい空間であり、新村もその独特の雰囲気づくりに携わった。
その後、彼女はさらにジャズとの関わりを深め、とりわけ2011年の東日本大震災の影響を受けた東北地方のジャズ喫茶を支援する活動にも取り組むようになった。
2024年、ちぐさのレガシーを継承するためにMCYが設立された際、新村は、日本各地の素晴らしい老舗ジャズ喫茶やジャズバーが次々と姿を消している現状に強い危機感を抱いていたという。彼女が活動に関わるようになった背景には、ちぐさの保存にとどまらず、日本独自のジャズ喫茶文化そのものを守りたいという思いがあった。
新村は次のように語る。「日本、そして特に横浜のジャズ文化をより多くの人に楽しんでもらえるよう、その魅力を発信するプロジェクトを展開していきたいと考えています。ジャズを通じて、人々が豊かな時間を共有できる場を生み出し、日常の都市空間のなかでアートや音楽文化に触れる機会を広げていきたいと思います。」私たちから見ても、その取り組みは実に意義深く、称賛に値するものである。
最後に、お気に入りのジャズアーティストやアルバムについて尋ねてみた。新村が挙げたのは、デューク・ジョーダンの『Flight to Denmark』と、福居良の『Scenery』である。(「アルバムジャケットが本当にかっこいい!」と付け加えてくれた。)

ミュージック クロニクル Yokohama(MCY)の活動内容について、簡単に教えてください。
日本のジャズを中心としたアート音・楽文化の保全利活用をし、ジャズレコードのリスニングルームを開設しています。
インスピレーションの源となった吉田衛氏とジャズ喫茶ちぐさについて教えてください。
1933年に横浜の野毛にて当時20歳の吉田衛氏がジャズ喫茶ちぐさをオープン。現存する日本最古級のジャズ喫茶だが、現在建て替えのため休業中。
MCYは現在、このレガシーを守るためにどのような取り組みを行っているのでしょうか?
休業中のジャズ喫茶ちぐさの貴重なレコードや音響機器を預かり、メンテナンスしながら多くの人にその音を楽しんでいただくためリスニングルームを開設。音楽ライブやアートイベントも企画運営しています。

MCYがいつ、どのように設立されたのか教えてください。
野毛の店舗の建築費が高騰し工事がストップしている中、倉庫にしまっていたレコードや音響機器が劣化し始め、メンテナンスの必要があったため、これまでちぐさ支えてきたボランティアメンバー7名で2024年10月に設立。法人化は2025年4月。
ジャズ喫茶ちぐさの今後の計画はどのようなものですか?
野毛のジャズ喫茶は建築がストップしているため、いつ再開するかわかりませんが、リスニングルームではその間、レコードを気軽に楽しめる場所として維持できるよう努めます。

リスニングルームのコミュニティスペース以外でもイベントを開催されているようですね。そのことについて教えてください。
各地域へ出張し、レコード演奏とコーヒーを楽しむイベント開催や、音楽ライブ、貴重なジャズ関連のコレクション品の展示会など様々展開しています。
地域社会はあなたをどのようにサポートできますか?
横浜のジャズ文化は戦後の地域文化を語る上で欠かせないトピックです。地域資産としてレコードや音響機器、資料などの物理的な文化財を守り、また、良い音楽を共有する社交場の維持を支えていただければ助かります。
